神様のテストが実施された?
皆様、クリスマスを如何お過ごしでしょうか?サニータジマです。
今回は、ちょっと変な出来事があったので書いていきますよ。はい。
神様のテストが実施された?
今やコンビニの駐車場でたむろしているのはDQNではなく、会社帰りのサラリーマンたちだ。
真っ直ぐ帰りたくないのか?呑んで帰るといっても、ここグンマーは車社会なので
ゆっくり、一人の時間を満喫するといえばwi-fi完備のコンビニ駐車場なのだ。
夕方のコンビニ駐車場は社会で揉まれ疲れ果てたサラリーマンたちのブルースを感じる。
そして、僕もコンビニ駐車場ブルースマンの一人。
先日の夕刻、コンビニ駐車場で一人の時間を満喫する為、ホットココアを購入。
「寒くなってきたし、やっぱホットココアはほっこりするなー」と
車に戻ろうとすると
「すみませ~ん!」とオジサンが近ずいてくる。
その風貌、一見して営業マン風だが全身黒ずくめ、MIBか?いやいやエグザイルか?
近づくにつれ、ヨレヨレでほころびたコート、大きな皮の鞄は20年、いや30年の時の流れを感じさせる。
歩き方がヨタヨタして、今にも倒れそうなのだ。
今まさに、無人島から自力で生還したのだろうか?
ここ海無し県ですけど。
そのオジサンが僕にロックオンして、こちらに真っ直ぐ向かって来る。
「高崎に行くのはどっちに行ったらいいですかね?」
「高崎?ここから高崎まで15km以上あるけど・・・歩きで行くんですか?」
「いや~まいった!私ね、今日川崎から友人に会いに来たんですよ。
向こうにスマーク伊勢崎ってショッピングモールあるでしょ、そこで友人と待ち合わせの約束してたんですよ。
それでね、私実家が福島なもんで、ハチミツやら色々買って福島の実家に送ったんですよ。
それでお金ほとんど全部使っちゃいましてね。
でもまあ、帰りは友人が川崎まで送ってくれる予定だったんですがね、急にね友人がね、今日は仕事で行けなくなったっていうんですよ。
それでね、頭が真っ白になりましてね。
高崎まで行こうかな、それか高崎に向かう方に前橋インターがあってそこにモールがあるんで、
そこで東京方面に行く車に乗っけてもらおうと思いましてね。
ええ、ええ、それでスマーク伊勢崎から歩いて来たんですよ。」
スマーク伊勢崎から歩いて来たって?えーと、ここから10kmあるけど・・・
「いやー、もうヘトヘトですよ」
福島弁全開で、しかも早口で何言ってるかよくわからないがまとめると
友人に会いに川崎から来た→スマーク伊勢崎で買い物してお金使い果たす→友人来られなくなる→交通費ないので高崎駅まで歩いて行くつもり、もしくは前橋インター→僕に道を聞く←今ここ。
しかし、この胡散臭さなんなんだ。全身から放つ負のオーラ
こんな、嘘くさい人80年代の刑事ドラマでしか見たことないつーの!
あっ!もしかして、キタコレ!
このオジサン、そんなこと言ちゃって本当は観音様なんでしょ!
はいはい、わかってますから
前に本で読んだんですよ。
なんでも観音様は高次元に行ける立場だけれど、この娑婆世界に残って遊んでおられるって
修行してるでも、見守っておられるでもなく、遊んでおられるってのがいいじゃない。
東山の金さんかよ!
この話好きで、心の何処かで信じてるんだよね。
会社のムカつく上司が実は、観音様が遊んでいるだけと思ったら、気が楽じゃんか!
観音様もお茶目な方で、たまにこうやってテストしてるんでしょ。
わかってますから、もうバレバレ
このテスト、2~3年前にもあったよな。
そう、ちょうど寒いこの季節だった。
仕事が終わり駐車場へ行く途中
「スミマセーン」
振り向くとアジア系の外国人が居た。
身なりはキッチリしたスーツ姿でスタイリッシュな鞄を持っている。
髪型はピッチリ整えられ、どう見ても信用しちゃいますよ、あなた。
「○○町マデ行クノハドッチ行ッタライイデスカ?」
「○○町まで歩くんですか?ここからだいぶあるけど・・」
「送ッテクレル人、他ノ現場ニ行ッタノデ歩イテ行キマス、ダイジョウブデス」
「いや寒いし、送って行くよ乗りなよ」
「エ、エ、ホントニイイデスカ?アリガトウゴザイマス!アリガトウゴザイマス!!」
車内で話を聞くと、ウォン君(仮名)は工業機械のエンジニアでベトナムから働きに来ているらしい。
アパートに数人のベトナム人と共同生活していて
国に残した奥さんが恋しいけれど、今は将来の為に日本語を勉強しながら、頑張っている。
お互いの国の良いところを褒め合い、車内で盛り上がった。
アパートに着くと
「アノ、コレ受ケトッテクダサイ」
と千円差し出した。
「いや、受け取れないよ。もしも困ってる人が居たらウォン君、今度は君が助けてあげて」
と言って僕は立ち去った…
「アリガトウゴザイマス!アリガトウゴザイマス!!」
ウォー!カッコイイじゃないか!その時の僕は三船敏郎に似ていたに違いない!
それに比べてどうだ、この胡散臭さ!全身から放つインチキ臭さ!
人は見た目じゃないのよ。
このオジサンも見た目でどうこうのというわけではないのよ、これが。
もう、最初っから
どうか、どうか、お助けくだせえお代官様ってニュアンス盛り過ぎなんだよ!
助けるべきか?見捨てるべきか?タッキーか?翼か?
「前橋インターまで、15kmはあるけど、歩いて行くのはちょっとキツイかもしれないですよ」
「そんじゃ、高崎駅まで歩いて行けますかね」
うーん、20kmあるけど。
「高崎駅に行っても電車賃ないんじゃ意味無いじゃないですか?」
「ええ、なんとか誤魔化して乗れないかと思いまして、私ね足が悪くてね身障者と言えばなんとなるんじゃないかと
で、さっきねその手でバスに乗ろうとしたら、断られまして
それなら、前橋インターのところにショッピングモールがあるでしょ
そこでね、上手いこと言って東京方面に行く車に乗っけてもらおうかと思ってるんです」
「インターまでだいぶ歩きますよ。その足じゃあ無理ですよ」
「んじゃあ、この辺で野宿出来るとこありますかね?野宿は何度かしたことあるんで」
「今夜は冷えますよ、野宿は無理だと思います」
「そうですか、いやねえ、2500円あればなんとか帰れるんですがね~銀行のカードとか持って来てないんで、まいったな~」
来たよ来たよ。
2500円かー、まあ2500円なら、されど2500円…
川崎からこんなとこまでの旅でカードも持ってきてないなんて、痛恨のミスだろ!
どうする?どうする?どうする?
えーい!持ってけ泥棒!どーんと3000円持ってけ!!!コノヤロー!!
思わず僕は三千円差し出してしまった・・・
この時点で、家でこの話をするのはやめよう。
はっ⁈知らないオジサン車に乗せて、三千円貸したの⁈えっ!バカなの⁈
うん、消される。
「いいんですか?いやーありがとうございます!
私の住所と名前ここに書いておきますんで、決して怪しい者じゃ御座いません」
電話も携帯もないんだ、どういう生活してんだろ。
十分、怪しいよ・・・
「あなた様は神様です!明日は病院行くんでちょっと無理なんで○○日に振り込みます。振り込んで電話致します。いやー助かった」
出しちまったよ、三千円。戻ってくる気が全然しない。
この前、映画ボーダーラインを見てダークヒーローのデルトロに憧れて、オレももっと悪にならなきゃダメだな、善人ぶってると利用されてポイされるのがオチだからな。
と思ってたばかりなのに、これじゃ善人丸出しじゃないか!
もう、しょうがない、
足が悪いのは本当っぽいから、伊勢崎駅に送ってやってサヨナラだ。
サヨナラ三千円。
「じゃ、伊勢崎駅まで送るんで乗って・・・」
もう、乗ってるし!
「伊勢崎駅じゃなしに、その一つ先の駒形駅までお願いします」
まあ、ここからだったら伊勢崎駅も駒形駅も距離変わらんからいいだろう。
「山が好きなんですね。私も昔は登ったもんだ」
「そうなんですよ!僕は山が好きで今年の夏は燧ケ岳に一泊で登って楽しかったなあ・・・てか、なんで僕が山好きってわかったんですか⁈」
「ほら、そことそこに登山メーカーのステッカーが貼ってあったから、多分そうだろうと思いましてね」
なにこの洞察力!この短時間で相手の好きなものを見抜き、会話に盛り込んでくる。コミュ力強すぎだろ!
それに比べてどうだ僕は、もうオジサンの顔すらもう覚えていない、情報量少な過ぎだろ!
こんなんじゃ、エージェントになれないだろ!潜入捜査したって、なーんにも情報持って来れない・・・
えーと、駒形駅って確かオートレース場の近くでこの辺だったけどなー、使ったことないからわかんないな。
「駒形駅はその先の信号を右に入ってもらって、ええ、ほらあそこに見えて来たでしょ、あれが駅ですね」
「僕より詳しいじゃないですか」
「何度か使ったことがありましてね。それとタバコがあったら分けてもらえないですかね~」
ないけど。
駒形駅ロータリーでオジサンと別れる。
いったいなんだったんだ、観音様のテストなのか?ただの地雷か?
偶然なんて、この世には無いと思ってるんだよなー、いろんな点と点が意外なところで繋がってくるもんなのよ。
なんの意味があるか僕にはサッパリわからない。
でも、いつもと違うこんな出来事にワクワクしてしまう自分がいる。
この記事を書きながら、オジサンからの電話を待っている。
んー、もしかして
オジサンと会ったのはオートレース場近くのコンビニ。
最寄の駒形駅にも詳しかったな。
もしかして、オートでテンション上がって全部すった?いやいや、そんなことはない・・・
約束の時間は、19:00
今は19:40・・・
んーコノ!