映画「I AM THE BLUES」ブルースファン、音楽ファン、必見

映画「I AM THE BLUES」ブルースファン、音楽ファン、必見

どうも、サニータジマです。

映画「I AM THE BLUES 」観てきました。

新宿K’s cinema

日曜日の12:30からの回で、ほぼ満席でした。

ブルースという音楽は「ブルース聴くし、演ってるよ」という人が一番多い音楽と思うんですよ。

この劇場にいる人全員ブルースマンかと思うとニヤニヤしてしまいました。

I AM THE BLUES

監督はカナダ人のダニエル・クロス

ドキュメンタリー作品を多く撮る監督さんですね。

この作品では、カナダのオスカーに当たるジニー賞で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しています。

世界各国での映画祭で絶賛されています。

映画の舞台はアメリカ南部

南部は数多くのブルースマンが輩出された地域です。

現在でもその土地を愛し、そこで暮らし活動する最後のブルースマンに密着し、ブルースの栄光と衰退、そして未来をドキュメンタリー映画です。

ブルースの全盛期を経験してき人々

綿畑で働きながらブルースを体得してきた人々は、現在では高齢になり真のブルースマンとしては最後の世代になります。

みなさん高齢なんですが、とても可愛らしいですね。

男性は皆さん少年のようで、女性はとてもチャーミングなんですよ。

ブルースという音楽はアメリカの南部の人々の生活の中に溶け込んでいるということは、情報として知っていましたが、ここまで密接に繋がっていたとは知らなかった。

その空気感、極上の演奏の数々を味わえる映画です。

是非、劇場の音響の中で観ることをおすすめします。

ボビー・ラッシュ

81歳になりながら現在も街から街へ、チトリン・サーキットを続けながら生きる

ボビー・ラッシュがこの映画の道先案内人的な存在になります。

アメリカでの公開は2年前なので、現在は83歳ですが

若い!

男の80代は女性より、ガタがきてるものですが、僕から見ると超人にしか思えません。

そんなボビーラッシュ

2000年にはグラミー賞にノミネート、2006年にはブルースの殿堂入りを果たしています。

ファンキーなブルースで現在もバリバリに活動しています。

1999年にはパークタワー・ブルース・フェスティバルで初来日

2014年にはフジロックフェスティバルにも出演しています。

半世紀の間、活動してきた方なのでしっかりしていて、自由人な他のブルースミュージシャンたちをまとめてくれます。

ボビーラッシュなしでは無茶苦茶になっていたかもしれません。

日本では高齢者の車の事故が話題になりますが、ボビーラッシュは自分でステアリングを握り、走行距離は100万キロ以上!

「ロードこそ俺の仲間なのさ」と彼は言います。

曲のほとんどは車の中で出来たそうです。

”お前の車には、いつも男がいっぱいだ、俺の乗る隙間はありゃしねぇ”

若い頃、ステージでの演奏ではカーテンの前に立ち演奏した、メンバー紹介のとき一瞬だけカーテンが開き挨拶する

黒人の演奏は聞きたいが姿は見たくないんだとさ

マディーウォーターズも初めはそんな扱いだった

と、悔しそうな表情で語る彼が印象的でした。

ジミー・ダック・ホームズ

両親が48年にオープンしたジョークジョイント、ブルー・フロント・カフェの現在の経営者です。

掘っ建て小屋のようなカフェの佇まい、ブルースファンならグッときますね。

「この店ではブルーズ以外は流さねえ」

アコースティックブルースの演奏は凄みがあります。

「ベントニアスタイルで3弦をスライドさせるんだ、マディーとかはチョーキングするだろ、このスタイルを学びにくる奴もいるけど、みんな諦めちまう」

ベントニアはスキップ・ジェイムズの出身地であって、独特のブルースを聴かせてくれます。

ブルース全盛期には多くのブルースマンがこの店を訪れ、スキップ・ジェイムズも来ていたそうです。

今では寂れていますがジミーは若者にブルースを教えたり、ブルースの未来に希望を持って生きていました。

80年代には各地のフェスに出演したり、アルバムも作成したそうです。

リトル・フレディ・キング

ライトニン・ホプキンススタイルのブルースマン。

ド派手な衣装がかっこいいですね。

ド派手な衣装でチャリに乗ってる姿がとても可愛い。

演奏はもちろん最高ですが、トークも最高です。

ウルマー
「俺は銃が嫌いだ、人を殺すにはギターの弦一本で充分さ」

リトル・フレディ
「俺は5発、撃たれたことがある・・・」

周りの空気が重くなる

ウルマー
「軍隊か?」

リトル・フレディ
「違う・・・」

ウルマー
「だ、誰に?」

リトル・フレディ
「カミさんに・・・5発・・・」

(爆)

リトル・フレディは父親にギターを教わったそうですが、父親はライトニン・ホプキンスの義兄弟です。

現在もコンスタントにレコーディングを行っています。

最新作は2015年の『Messin’ Around The Living Room』

バーバラ・リン

女性の年齢は伏せておきましょう。

バーバラ・リンは日本でもファンが多くいる有名ブルースミュージシャンでとても可憐でチャーミングです。

ギターを弾く女性ブルースミュージシャンは少ないですが、

彼女はテキサススタイルのギターを弾きます。

サウスポーで弾くギターがとてもかっこいいですね。

親指でコツコツとボディを叩きビートを刻む独特のスタイル。

弾いていたら自然とこうなったらしいです。

若い頃の演奏より、今の方が円熟味があって奥深い味わいがして良いですね。

L.C.ウルマー

ストリートミュージシャンとして活動してきた彼は、49年にJ.B.レノアーのバックを務めています。

その後も様々な仕事を続けながら活動して来ました。

2008年にはシカゴ・ブルース・フェスティバルに出演しています。

まー、よく喋る人ですが、アコースティックギターのスライドが泣いています。

人生、全てがブルースってのが滲み出てる人ですね。

ブルースのシリアスなんですが、どこかクスッと笑える感じがして、コレコレ!って思いました。

2017年、惜しくも老衰のため87歳で亡くなりました。

キャロル・フラン

ルイジアナ出身、ジョー・ラッチャーのバンドの専属歌手となり

自作の「Emitt Lee」でレコードデヴュー

98年のパークタワー・ブルース・フェスティバルで来日しています。

お洒落でとてもキュートな女性ですね。

とても可愛らしいけど、歌うとパワフルです。

映画の中で「Emitt Lee」が流れるシーンがありますが

声質、息の使い方等、ロバート・ジョンソンにそっくりと思いました。

ロバート・ジョンソンって中性的な歌い方なんだなと発見できました。

「Emitt Lee」は昔、心から愛したけど、早くして亡くなってしまった彼のことを歌った歌です。

人それぞれ、背負っているものがあるんですね。

レイジー・レスター

陽気で少年のような人で、映画を和ませてくれます。

ルイジアナ出身のハーピスト。

ライトニン・スリム、ロンサム・サンダウン、スリム・ハーポとともにルイジアナ四天王と称されました。

ギターも弾いてフォークナンバーがとても良かったですね。

部屋でギター片手に歌っていると、上の階から苦情の電話。

「え?うるさい⁈こっちは教会並みに静かだよ」

お前がうるさいんじゃ!

「よーし、今度騒いだらお詫びのキスだ」

どうゆうことやねん!

2000年、パークタワー・ブルース・フェスティバルでハープアタックのメンバーとして来日しています

ヘンリー・グレイ

ピアニストで40年代から、シカゴで活動

ジミー・ロジャース、リトル・ウォルター他、数多くのアーティストのレコーディングに参加

ハウリン・ウルフをサポートしたことでよく知られています。

2015年、モントルー・ジャズ・フェスティバル・イン・ジャパンで日本公演も行なっています。

米国無形文化財、芸術賞受賞。

日本でいう人間国宝を受賞しています。

ブルースの現在、そして未来

映画を観終わると、なんとも言えない満足感と余韻。

最高のアルバムを聴き終えたような感じでした。

彼らの言葉は、そのまま歌詞になってもおかしくない言葉で、一つひとつに重みがあります。

演奏も見応え、聴きごたえがあります。

ライブでの演奏では、皆さんスマホで動画や写真を撮りながら楽しんでいる姿はアメリカでも日本でも変わらないんですね。

庭先での即興演奏でも結構凄いことをサラッと演って聴かせてくれます。

即興でピアノに合わせて歌うシーン。

キャロル・フランが歌うとレイジー・レスターがチャチャを入れる感じで入ってきます。

またそれにキャロル・フランが歌って返す。

フリースタイルのラップみたいでした。

英語の持つグルーヴ感もあってブルースからラップへ行く流れもあるんだなと思います。

ブルースという音楽は一応、型のある音楽なんですが、演奏する人によって全く違って聞こえますね。

ブルースの中にその人の人生が宿るのでしょうかね。

そう、ブルースという音楽だけ一生懸命やって、テクニックだけを磨いてもそれはブルースじゃないんじゃないかと思っていましたが

やはりそうか!と納得しました。

人生、いろんなことがありますが、

その一つひとつを音にして表現できたら、それはもうブルースですよ。

「良いことは長く続かない…だけど悪いことも長くは続かないんだ」

嫌なこと、悪いことが起きたらなんとか良い方に、ポジティブに持っていこうと、もがいてしまいますが

彼らは、悪いことは悪いこととして味わっているというか、楽しんでいるというか

あるがままに受け入れる感じですかね。

「今の昔もブルースは人々の心の中にある、昔は差別や貧困だったが、今は嫌な上司にこき使われたり、警官からの暴力に悩んだり、変わりゃしない」

「嫌なことが起きると、俺たちは悪魔のせいにしちまう。何もしてないのに悪魔はかわいそうなもんだ」

ブルースマン人生相談があったら是非是非、相談に乗ってほしいですよ。

彼らのちょっとビッグマウスなところ、あれは文化なのでしょうか?

嫌味がなく、自分の人生を愛しているような感じがあってとても素敵ですね。

自己肯定感が強いというのかな?

日本人はどうも謙遜しちゃうじゃないですか

「おうよ!俺こそブルースよ!」

と言ってもいいんじゃないか、もっともっと自分の人生を愛したほうが、きっと幸せなのだと思います。

そして結局、人間は魂なんだなと改めて思いました。

みんな、気持ちは20歳の頃と変わらないって言うじゃないですか。

大人になるってことは、余計な体裁等が付いてしまっただけで

子供から大人になって、また子供に戻って死んで行くのかなと思います。

 

経過年が楽しめる音楽ってやっぱりBluesですね。

無情にも時間は流れ、時代は変わっていってしまいますが

人の心の中のブルースは、永遠に続いて行くと思います。

おすすめ映画

映画のコマーシャルで観て、これは観たいと思った映画がありました。

「さすらいのレコードコレクター」

アメリカはメリーランドに暮らす、
最強のレコード・コレクター、ジョー・バザード。

この男のミッションは、
「本当のアメリカン・ミュージック」のレコードを探し、救うことだった!

音楽ファンが待ちに待った

レコード掘りドキュメンタリー、発掘公開!!

ターンテーブルから流れるのは、

ロバート・ジョンソン、チャーリー・パットン、サン・ハウスand MORE!!

それではまた。

サニータジマでした。

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